委任者が受任者にご自身の死後の事務を委任する契約です。
ご自身の死後にその遺志を反映させるために生前に準備できることとしてよく知られているものには、「遺言」があります。
ただし、遺言で定めることができる事項は民法という法律で定められており、それ以外の事項を遺言に記載しても法的な拘束力はありません。そのため、法律で定められた事項以外について遺言に記載しても、相続人あるいは遺言を執行する遺言執行者により、確実に実現してもらえるとは限りません。
死後には様々な手続きが生じますが、現代は、少子高齢化、核家族化等により、身寄りのない、あるいは身寄りはあっても頼れないなど、ご自身の死後に不安を抱える方が増えています。このような方のご不安を解消する手段として、死後事務委任契約があります。
死後事務委任契約は、
より積極的に死後にご自身の遺志を反映したいという方にとっても有益です。
死後事務委任契約で、委任者が受任者に委任できることは
終活として活用できる制度は
死後事務委任契約の他にも成年後見制度や財産管理契約等があります。
死後事務委任契約の委任事務の一部は、成年後見制度や財産管理契約などの制度で実現可能なものもあるため、相互にその内容が抵触してしまう可能性があります。
しかし、遺言書作成で対策ができるのは、あくまでも相続手続のお話であって、死後事務手続については遺言書の作成のみでは不十分です。
◆死後事務手続きについて
特に子どものいない方、頼る親族のいない方にとって、実は相続のことよりも対策が重要であるにもかかわらず、何らの対策を講じないまま亡くなってしまい、周囲に大変な迷惑をかけてしまっている現状があることを知っておくべきなのです。
ご親族が居ない、また、いらしても疎遠であるなど身寄りのない方にとって万一のことが起こった時、どのように対策しておくべきか心配なのは無理もありません。
いざという時に周りに迷惑をかけないように、お元気な今のうちからきちんと準備しておく必要があります。
例えば、賃貸の入居者が亡くなられた場合、賃貸借契約は当然には終了せず相続人が賃借人の地位を引き継ぎ、部屋の中の残置物の所有権についても同様に相続人が承継します。
賃貸のオーナー(大家)は勝手に部屋を開けて残置物を処分するようなことはできません。賃貸のオーナーとしては、相続人を相手として、賃貸借契約の解約と明渡しの手続きを行ってもらうことになります。
相続人の有無や所在を探すのは容易ではなく、時間や費用がかかります。 さらに、相続人が判明しても相続人に対応を拒否されたり、そもそも相続人が存在しないケースもあります。
相続人が存在しない場合には、家庭裁判所に相続財産清算人の選任申立をする必要が生じ、明渡しを実現するまでにはさらにコストを要することになります。
また、相続や遺産の処分については遺言で定める必要がありますが、死後事務委任契約において財産的処分を伴う事務(遺産の整理、世話になった人物への謝礼の支払い等)を定めた場合には、どちらが優先するのかその効力が問題になりかねません。
死後事務も受任者を決めていなければ、親族の方が行うことになりますが、親族の方に死後事務をやっていただくのは難しい場合にはホームロイヤー(トラスト弁護士法人)にお任せする契約があります。
死後事務委任契約も公正証書として残す、トラスト終活支援のホームロイヤー契約でスムーズな解決に繋がります。
死後事務委任契約に関するご相談は、法律の専門家である弁護士にご相談ください。